天保 赤城録 国定忠治物語 大戸の関所破り 4 へえ!と一同は大きく応えた。 不満そうなのは日光の円蔵と板割の浅太郎の二人だった。 円蔵は一家の軍師と呼ばれるような文治派。浅太郎は最も忠治のお気に入りを自認している武闘派であり、三ツ木の文蔵は兄貴分だが一家のうちの競争相手でもある。 「くでえようだが、俺も文蔵兄貴と...
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天保 赤城録 国定忠治物語 大戸の関所破り3 忠治の住いは厳重に秘匿されていて、子分の中でも居場所を知っているものは少なかった。 国定村清五郎は忠治の最も信頼する男だった。幼い頃から近在で暴れまわった仲である。 知らせを聞いた忠治は眉をしかめ、誠に残念そうにうつむいて、無言のまま誰に相談することもなく行動に移った。 ...
天保 赤城録 国定忠治物語 大戸の関所破り 二 知らせを持ってきたのは長兵衛の子分で名を喜助と名乗った。 茅場の長兵衛は上州草津在を縄張りに持つ博徒で、湯治に繁盛していた温泉場で羽振りが良かった。 二年前、国定忠治が縄張りの境を接する島村の…...
天保 赤城録 国定忠治物語 1 大戸の関所破り 一 1 信州街道。街道と名はついているが人が踏み固めていつの間にか道になったような山道である。 重畳と続く樹々が真っ黒な屏風となって周囲を覆っている。 それも夜明け前の最も暗い時間。 全くの…...
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